ブランドの展開の仕方を変えたわけ




2016-06-21_10-51-01_HDR

お客様より「もうレディースはやらないの?」とか「このモデルはもう作らないの?」
など日々、ご希望を頂きます。中々展開が出来なくて申し訳ない限りです。

でもちゃんと理由があるんですよ。
この際なので、ブランドの展開の仕方を変えたわけを記しておこうと思います。

このブランドのミッションをざっくり言えば、社会問題と向き合い、より良い社会の一路を
見出す事です。一言で言えば循環型社会なんて呼ばれるものです。
それを目指す上ではあらゆる社会問題に向きあわなければなりません。
その社会問題の1つが環境問題であり、環境問題
の1つが無駄な資源搾取と環境負荷を掛けている産業廃棄物の問題です。
MODECOはここからスタートしたわけです。

それらの啓発と解決を目指してスタートしたのがMODECOだったのですが
いわゆる一般市場ではその思いよりも消費欲求を満たすことを優先せざるを得ない状況でした。

例えば今のファッション業界。
3月から8月まで春夏(S/S)、9月から2月まで秋冬(A/W)の2シーズン制。

S/Sは3月から6月までプロパー(定価)、7、8月はクリアランス(セール)
A/Wは9月から12月までプロパー(定価)、1、2月はクリアランス(セール)
アウトレットは当たり前。

早いサイクルで物を作り、またすぐにセール。
次のシーズンも繰り返し。

端的に言えば・・

大量に作り、大量に売り、そしてモノとして余る。
セールやアウトレットで売り切れなかったら、捨てる。
モノとして余るという事はモノの原材料は更に余る。

モノの価値がどんどん低迷し、資源をどんどん搾取し、余ったらどんどん捨てる。

ある日、ふと思いました。


これをやりたかったんだっけ?


むしろ逆です。
個々の廃材の可能性はそこまでたくさんあるわけではありません。
だからこそ1つのデザインが末永く愛されるようデザインしなければまた捨てられてしまうで
しょう。早い市場のサイクルに参加すれば、それだけ寿命も短くなってしまいます。

余ってしまって捨ててしまうもの、使用済となって捨ててしまうもの。
廃材は主に2つの種類がありますが、せっかく削減を目指したのに、売れなかったから捨てる
というのは本末転倒も甚だしい。

つまり、これを止める為です。
そしてレディース市場はこのサイクルが顕著で、消費も激しい分、要望も資源ロスも激しい。
一旦これを整理整頓しなければ、と思ったからなのです。

今期は消防服のコレクションを集中的な展開をしているのも、この理由が関わっています。
廃棄消防服の場合、各自治体が廃棄する消防服が原材料となります。
この廃材量は毎年どれだけ廃棄されるか分かりません。
つまり毎年どれだけ展開出来るか、全く以て不透明なコレクションです。

原則自治体との連携が広がらない限り、展開数の限りがあるコレクションですが
おかげさまで毎年名古屋市消防局から廃棄される消防服は概ね償却出来ておりました。

なので、今期はまず定量的な削減が見込みやすい消防服の確実な有効活用を目指して
進めていき、その他の製品は一旦休止して、「消費需要による販売目標」ではなく
「廃材の削減量」のみに焦点を当てて展開しようと思いました。

こうすれば無駄に作る事なく、削減も確実に出来ますからね。

一方で楽しみにして頂いているお客様には申し訳ないと思っております。
しかし、ブランドを見つめ直し、MODECOがやるべき事を考えた結果、
廃材の削減を第一に考えた無駄のない展開をしようと思ったわけです。

この上で消防服の廃材は廃材自体が「年間数量限定」なので、削減目標を打ち立てやすかった
ので、ここからリスタートを切ろうと思ったわけです。

需要にもお応え出来るように1つずつ着実に進めていきますので
ご希望のラインの登場まで、今暫くお待ち願えれば幸いで御座います。